太陽光発電システムの基礎知識

綺麗に並んだソーラーパネル

地球環境をできるだけ守りましょう!そんな意識が芽生えて人類はいろいろなアイデアを出しています。その化で今注目されているのが「太陽光発電」です。自宅の屋根を使って発電できるエコロジーなシステムですね。意識の高いご家庭では、屋根に太陽光パネルを設置しています。

地球環境を守りながら、太陽光を取り入れて発電してご家庭で使い切れなかった電力を売電できます。売電は「ばいでん」と読みます。電力会社に売ることで利益を得ることが可能です。この記事では太陽光発電システムの基礎知識について詳しく解説します。

太陽光発電とは?

芝の上に並んだ沢山のソーラーパネル

発電方法の仕組みを理解することから始めましょう。クリーンな発電方法で太陽が発している光エネルギーを電気に変えるのです。太陽の光は「光エネルギー」と持っています。それを「電気エネルギー」に変換するのです。

石油など化石燃料は、いずれ枯渇してしまいます。しかし、太陽光はどうでしょうか?私達が住んでいる地球には、毎日降りそそいでいます。このありがたいエネルギーをもっと使いやすいエネルギーである「電気」に変換できれば、とっても利便性が高まります。クリーンであるのは、発電する場合に火力発電のように化石燃料を燃焼させて二酸化炭素を発生することがありません。

太陽光発電の仕組みと特徴

手で作った輪の中に収まる夕日

まずは、一般のご家庭やマンション・ビル・工場・ショッピングセンターなどの屋根部分に太陽電池モジュールのパネルを設置して太陽光を取り込みます。太陽光パネルに太陽光が当たることで、光エネルギーが電気に変化されるシステムとなっています。

これによって発電できた電気をご家庭や工場などで使う電化製品を動かすことができます。ずっと良い天気であればいいのですが太陽が出ていないときは発電できません。夜は太陽光がありません。雨が降っていたり曇っていたりする日や雪の日は十分な発電量になりません。自給自足できる太陽光発電システムのウイークポイントはここにあります。

十分な発電量にならなければ電力会社から電気を買わなければなりません。しかし、太陽光発電を使って発電した電気が余る場合もあります。その電力はそのまま送電線を通じて電力会社に売ることが可能になります。このことを「売電」と言います。

こういった売買を株式を買うように、いちいち操作するのは面倒です。電気の売り買いに関しては特別な操作をすることはありません。自動的に売買できるシステムになっていますから、特に作業をすることはありませんからとっても楽です。

電力会社に対して清算されるのは1か月単位になります。買電額(電力会社から買った電気代)と売電額(電力会社に売った電気代)が計算されます。売電金額の方が大きい場合は差額分が指定された口座に振り込まれます。2009年からは太陽光発電システムによって新たな余剰電力の買取制度が始まりました。売電単価が増えてきていますが、これも流動的ですから、しっかり注視しておく必要があるでしょう。

太陽光発電のメリット

沈む夕日と木

太陽光発電システムを導入する場合は、大きな投資になります。設置するだけで数百万円がかかります。これだけの多額な費用をかけてまで導入するには、それなりのメリットがないと決心できません。

大きくわけると(1)経済的なメリット(2)クリーンなエコロジー(省エネ)(3)大災害で停電になった場合の予備電源や発電装置としての利用ができることなどがあります。

少し前までは、環境面の貢献程度しか注目されていませんでした。これが大きく変わったのが2009年の出来事です。太陽光発電の新たな買取制度が始まりました。そして、太陽光発電システムを導入する場合の補助金がはじまりました。これによって太陽光発電をとりまく環境が大きく変わりました。

それぞれを詳しく見てゆきましょう。

経済的なメリット

ブタの貯金箱

太陽光発電システムで、あまった電気を売れることです。高額な太陽光発電システムですが導入メリットは経済的なことです。売電によって発電した電気を売却できますから、無駄がありません。2009年(平成21年)11月からは太陽光発電システムの普及を促進するために施策が打たれました。

売電価格が大幅に引き上げられました。このことで経済的なメリットがますます大幅にアップしました。最近は太陽光発電システムの普及も一段落してきましたので、売電価格の見直しがされています。

従来は太陽光発電システムを導入しても初期投資を回収するために20年以上は必要だと試算されていました。しかし、今では10年から15年で回収できるとも言われています。

太陽光発電システムの売電によって、どの程度の利益がでるのでしょうか?

インターネットで調べてみたところ、2014年のデータがありました。太陽光発電システムの平均的な導入費用は、1kWのシステムで換算したら40万円から45万円程度です。

一般のご家庭で置き換えるとわかりやすいですよね。平均的には3kW程度の太陽光発電システムを導入しています。導入コストは工事費を含めて150万円程度の負担です。

太陽光発電システムの発電量は1年間でシステムの1000倍程度でしょう。3kW×1000倍ですから、3000kWhの発電をすることができると考えられます。自家消費する比率はそれぞれ違うでしょうが、3割を自家消費して、残りの7割を売電したとしましょう。ここで、利得を仮に設定しておきましょう。

自家消費の経済的利得
1kWhあたり24円
売電時の経済的利得
1kWhあたり 37円

このように仮定しておきます。

900kWh×24円 +  2100kWh×37円 = 99300円になります。
これを導入したときのイニシャルコストで割ります。

1,500,000円(導入費用)÷ 99,300円(1年間の発電による利益)= 15.1年になります。

今回シミュレーションした例では、15年程度で太陽光発電システム導入のイニシャルコストは回収できる計算になります。それ以後の売電は、そのまま利益になりますから、とっても大きいですね。

ここで注意したいのは、固定価格による買取金額の保障が決まっていることです。その期間は「10年」です。10年を経過すると、買取金額はもっと安いレベルになります。そんなケースを想定すると、太陽光発電システムを投資したコストを回収できるのは、もう少し伸びると考えておいたほうがいいでしょう。

クリーン電力を自家発電できるエコロジーなメリット

掌に乗せた電球

太陽光はほぼ無限のエネルギーです。これを電気に転換することで二酸化炭素などを排出することはありません。クリーンな電力を自分自身で作れるのがメリットです。

法人の場合は企業のイメージアップにも繋がります。太陽光発電システムを導入すると「グリーン電力証書」で製品・パッケージに掲載することができます。CRS活動の一環としても高い評価が期待できます。もちろん、自社の電気代の削減にも繋がりますね。

エコでクリーンなシステムで発電するときにCO2が出ませんから「グリーン電力」と呼ばれているほどです。太陽光発電システムを製造したり廃棄したりする場合には二酸化炭素はエネルギーを使っています。

太陽光発電システムのエネルギー収支比(EPR)は10倍から30倍ほど。どういう意味なのか専門家じゃないとわからないですよね。簡単に言いますと、太陽光発電システムの製造から廃棄までに発生する投入エネルギーの10倍から30倍ほどのエネルギーを作り出せるというイメージです。

EPRとは、エネルギー・ペイ・バックタイムの略です。前述した収支の比率がイーブンになる運用年数のことで、約1年から3年です。とっても環境にやさしいシステムと言えます。

太陽光発電システムで発電した電力量と削減できる二酸化炭素の量とは?

ここでも標準的な3kWのシステムを導入した場合をシミュレーションしてみます。発電量を1年間 3000 kWhです。少なめに見積もっています。東京電力のデータでは販売電力量あたりの二酸化炭素排出量は2008年度で「0.332kg/kWh」です。

1年間で、3000kWhの太陽光発電システムを使った場合に、3000×0.332kg = 996キロの二酸化炭素を削減できたのです。こういった数字を見せられてもピンとこない人が大部分でしょう。

では、二酸化炭素を1キロ削減とはどの程度なのでしょう。杉の木の換算で71本分の二酸化炭素の吸収量、ガソリン422リットル相当の二酸化炭素の削減効果があるのです。

停電した場合の予備電源や発電装置としてのメリット

ボルト測定器

太陽光発電システムは、電力会社とはまったく切り離されている独立したシステムです。だから、停電によって電力会社から電力が供給されなくなっても太陽が出ている限り心配はありません。

一定の範囲で発電をしてくれます。太陽光発電システムで発電した電力を使って自宅の電化製品を動かすことが可能です。太陽が出ていない夜間や雨や曇りの場合は、太陽光発電システムでも発電ができません。少しでも太陽が出ていれば電気が使えるのは大規模停電の場合はとても心強いのではないでしょうか?一切電気が使えないのと、少しでも電気が使えるのは大違いです。

最近は大規模災害が多くなってきています。実際に発生した地震での停電が発生しても、太陽光発電システムがあるご家庭や企業が助かったという事例はとっても多いです。太陽光発電システムを導入すると売電できるという旨みもあるのですが、精神的な安心も担保できるのはとっても大きいでしょう。

それほど、私達の生活は電気に依存しているのです。電気があればパソコンも動きますから、インターネットで情報を得ることができます。デスクトップパソコンは使い物になりません。ノートパソコンもバッテリーがなくなればアウトです。情報収集という面でも太陽光発電システムはありがたいです。テレビの情報もリアルにチェックできます。

まとめ

ソーラーパネルの裏側

以上、太陽光発電システムの基礎知識についてご紹介しました。どういったシステムなのか・メリットはどこにあるのかがご理解いただけたと思います。さらに別ページで興味深い記事をご紹介しておりますので、合わせて参考にいただければ幸いです。

実際に太陽光発電システムを導入する場合は、メリット面だけでなくデメリット面も考えておかなければなりません。このページでご紹介した情報だけでなく幅広く知識を増やしておきましょう。導入したら少なくとも10年以上、太陽光発電システムと付き合うことになります。

利用しはじめて、(こんなシステムだったとは思わなかった)とならないようにしておきましょう。導入する年月も長いですし、費用も数百万円ですから、決して安い費用ではないので、しっかりと理解して納得するまで太陽光発電システム業者と相談するようにしましょう。理解していないけれど、ご近所さんが導入しているから……そんな理由で導入するべきではありません。